…人魚姫は強いのね

   たった一度しか逢っていない彼に逢う為に怖い魔女と対峙したんですもの    







-ゲームにルールは不可欠です-








「…あれ?私…」

    気が付いたか…。



見知らぬ場所。
ううん。何も無い。誰も居ない。私も居ない。
真っ白な場所。



「誰…?」

    誰だろうな。



声が聞こえる。
男とも女とも取れる不思議な声。
私はその声に言葉を返す。



「…。馬鹿にしてるの?」

    いいや。俺の存在などどうでもいい。それより、己に起こった事を覚えているか?

「…えっと、確か…」



フラッシュバックする記憶。
迫り来る眩しい光。
耳に届くのは耳障りな音。
辺りに居た人々の悲鳴。
そして、痛いと感じる暇も無いくらいの大きすぎる衝撃…。



「私、トラックに轢かれて…」

    そう。死んだ。

「…そっか…」



そっか。
私死んだんだ。
まぁ、良いかな…。
生きていても彼に逢えないなら詰まらないだけだもの。



    やけにあっさりしてるな。

「そうかな?」

    あぁ。もっと生きたかったとか、死にたくなかったとか騒ぐだろう?普通。

「じゃぁ、私は普通じゃないのよ」

    ははっ、なるほど。特殊な人物に恋するぐらいだからな。

「うん。って、え?」

    俺と賭けをしないか?

「え?」

    お前にある場所に送ろう。そこである人物と結ばれればお前は生き長らえる。
  だが、それが叶わなかった場合お前は命を無くし消え失せる。

「…人魚姫みたいね」

    人魚姫…?あぁ、物語のか…。そうだな。

「いいわ。その賭けに乗りましょう」

    そうか。では、精々俺を楽しませてくれ。

「…。嫌な人ね」



でもいいわ。
彼に逢えるんですもの。
私の命で楽しむといいわ。



    人ではないんでね。暇なんだよ、見てるだけの神って奴はな…。

「神?」

    気にするな。さぁ、送ろう。仮初の命の人魚姫…。





私に転機が訪れた。
それは普通ならありえる筈のない転機…。





素材 : 神楽工房 様